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教養区分試験について


 みなさん、こんにちは。2次試験もすべて終わりました。あとは30日の最終合格発表日を待つばかりですが、他の公務員を併願している方は、都庁の2次試験や来週の地方公務員試験等の準備で忙しくしているかもしれません。一方、総合職本命の方は、これから官庁訪問までの時期をどう過ごすかに、これまでの努力が報われるかどうかの全てが掛かっていると言っても過言ではありません。

 人事院面接終了後から、3年生の講義の合間を縫うようにして官庁訪問対策をはじめています。対策とはいっても、講義をしているわけではありません。志望動機等を作成した学生が都合の良い時に来て、時間をかけて面接をします。たった数行の記入内容から、30分~1時間近い面談ができるようにひたすら詰めていく…。毎年、来る日も来る日もこの繰り返しです(官庁訪問期間中は、休日以外直接会うことなんか無理なので、あらゆるSNSを駆使して、進捗状況の確認と翌日の訪問に備えて話す内容を詰めていきます)。試験なんかまだまだ先のことで試験勉強を始めたばかりの3年生も、講義後帰宅する間際に4年生と私のこうしたやりとりを興味深げに垣間見ています。「来年(人によっては12月)は自分がこういうことをしないといけないんだ」と、これからインターンシップや様々な就活イベントを控え、気持ちを新たにしているのかもしれません。

「もしも合格していなかったらどうしよう…」など、既に終わってしまった試験のことを振り返っていても無意味です。そんな後ろ向きの思考をしている暇があれば、官庁訪問の面接カードを作成しましょう。近年はHP上に面接カードのデータをアップしている省庁が多数を占めています。ほんの数年前までは、当日その場で記入するところがほとんどだった時代と比べると、官庁訪問はずいぶん親切になったものだと思います。すでに今年度の官庁訪問用の面接カードのデータを掲載しているところもありますので、しっかり準備しておきましょう。人事院面接同様、官庁訪問期間中、このカードがほぼ全ての面接で使用されますので、決して「このくらいでいいだろう…」なんて、投げやりにならないように!

 と、4年生に向けた話ばかりしてきましたが、今月から来年受験生向けの経済理論の講義が始まりました。といっても、コース生はまだ4人しかいません。年々出足は遅くなっているようです。一方で、2年も前に書いた教養区分試験についてのブログ記事の閲覧数が最近2カ月で400件に達しようとしているのですから、不合格になった時に備えて教養区分試験を考えている4年生の存在を考慮に入れても、教養区分試験に対する関心は高いように思われます。私も、3年生に「タダなんだし、来年の経済区分に向けての良い経験になるから、必ず受験するように!」と言っているので、おそらく全員が出願することになるかと思います。

 経済区分の受験指導を行っている学校の講師が、なぜ教養区分受験を学生に強いるのか不思議に思う人もいるかと思いますが、それは先ほど挙げた「経済区分本試験に向けた試験慣れ」のためだけではありません。教養区分試験導入後の試験および採用状況を鑑みての結論です。これから官庁訪問をする人、来年受験する人も含めて、みなさん人事院が公表している試験区分別採用予定数と実際の各府省庁の採用状況を確認してみてください。採用予定数というのは目安にしか過ぎないことがよくわかります。例えば、今年4月入省した人で見ると、法律区分158名、経済区分63名ですが、彼らが受験した平成28年度本試験実施時における採用予定数は法律:200名程度、経済:85名程度となっていました。ちなみに、今年の本試験における採用予定数はというと、法律:180名程度、経済:75名程度です。

 以前から繰り返し言っているように、こうした試験別採用予定数と実際の採用状況における乖離は、平成25年度(H26年4月入省者)以降顕著なものとなっています。一方で、この乖離を埋めるかのように台頭しているのが、教養区分からの採用者です。26年4月入省者:22名 ⇒ 今年4月入省者:61名、今じゃ経済区分からの採用数とほとんど変わりありません。教養区分の最終合格者の少なさ(例年130名程度)も考慮すると、かなり高い採用率であると思われます。

 専門試験が一切課せられていない教養区分からの採用者が増加し続けている現状に対して、苦々しく思っている人も多いかと思います。実は、私もこの試験区分が導入された当初はそのように思っていました。しかし、4年前にCIMAアカデミーを立ち上げ、教養区分合格者さらには内定者(12月官庁訪問内定者含む)を輩出するようになって気づいたのは、合格者の多くは、翌年の法律区分なり経済区分を受けても余裕で上位合格できる人間であるということでした(なかには、敗者復活戦として教養区分を受験し、その結果合格した学生もいますが・・・)。

 つまり、この試験区分が当初想定していた、「これまでの試験では測れない多様な人材の確保」という理想とは大きくかけ離れてはいるものの、優秀な人材を早期に確保し、時間をかけて彼らに官僚として働くことに関心を持ってもらうことには十分貢献しているといえます。そんなわけで、「翌年まで待ってられない!まずは官庁訪問する権利を早めに確保し、時間をかけて自分が目指すべき道は霞が関なのかどうか見極めていきたい!」という人には、是非教養区分受験をおススメします。ただし、法律や経済区分に比べて合格するのは大変ですよ!試験科目が少ないということで、みなさん自分にもチャンスがあると思い込んでいるようですが、毎年20倍近い倍率で、CIMAアカデミーでさえ、(最終合格者/申込者)は例年3~4割の水準をうろうろしている状況で、一昨年なんか全滅したくらいです!(ただし、翌年の経済区分で全員最終合格したので、なんとか帳尻はあわせましたが…)。それでも、教養区分に合格するためのノウハウは予備校の中では最も有していると思います。

 よほど勉強する習慣がなく、また他人の話を聞く耳持たない人じゃない限り、時間をかければ必ず最終合格にまでたどり着けるのは、まちがいなく経済区分であると強調しておきます。ただし、そのためには、私と4年生の真剣なやり取りを、来年の自分の姿だと想像できることが求められます。

 それではまた。


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