みなさん、こんにちは。「大学の定期テスト終了!春休み!」という方も多いかと思いますが、私はというと、東洋大学の方は採点も終了しましたが、昭和女子大学は来週まで、あと2科目分テストが残っています。学生の皆さんには想像もつかないでしょうが、私に限らず、どの先生も極めて短い期間で採点&成績評価を行わなければならないので、2月前半までは余裕がありません。
テスト期間中のCIMAの講義出席率は正直、異様なまでに低かったです。好意的に解釈するのならば、それだけ大学講義を重視していることなのでしょうが、いくら1次試験の合格最低点が近年下がりまくっているとはいえ(経済区分の話です)、「このままで本当に間に合うと思ってるの?」とツッコミも入れたくなります。
一方で、近年の学生の就職に対する意識の高さには目を見張るものがあります。全国的には、「民間企業でやっていける自信がないから公務員」「公務員志望だから民間就活しない」といった偏った考えの人が高齢受験者を中心に依然多数を占めているのでしょうが、うちの学生を見る限り、公務員以外の説明会にも積極的に参加しています。元来、自分がどうありたいのか、という観点から就職先を考える学生が集まっており、公務員志望者にありがちな「公務員になる」ことが最優先で、それに合わせる形で総合職から地方公務員まで併願先を多数考える層が皆無であることが大きいのかもしれません。
そんな視点から官僚になることを目指している現役受講生には、近年相次ぐ中央省庁の不祥事はどのように映るのでしょうか。もし、他人事のように考えて、「自分の志望度にはいささかも変化がない」と呑気なことを言っているようならば(冗談抜きで本当に多いです)、「想像力の欠如が目に余るから、今すぐ進路変更した方が幸せになれるよ」と助言します。一方、過剰反応して公務員になることを不安視する学生がいれば、「全く予想もしないところから難題が降ってくることは、どんな職業に就いても直面するから、今から怖がっていても意味ない」と、経験に基づいた話をします。
知っている人も今では少なくなったと思いますが、私が以前いた職場は、かつて構造改革特区の時流に乗り、我が国初の株式会社立大学を設立しました(これだけで、どこにいたのかわかってしまいますね…)。大学で教鞭をとった経験のある方ならご存知かと思いますが、新設大学の教員審査って意外に思うでしょうが、かなり厳しいです(いわゆるマル合審査)。
会社側は多くの資格試験の講師を教員リストに挙げましたが、資格試験は学問とは異なりますし、講師の多くは学部卒ですから当然ながら審査を通過しない講師が続出します。私は学位を保有していたこともあってか、審査をパスしましたが、でも全然教員数が足りません。最終的には、教員公募をかけることで条件を満たしましたが、そもそも資格試験合格と大卒資格が同時に実現するというのがウリの大学ですから、資格試験向け講義を担当したことのない教員に声がかかることはまずありません。また、資格試験向け講座の多くは収録講義(その中には私の講義もありました)で、早い話が、学生からすれば、名称だけ大学で中身は予備校と何ら変わりありません。
当然ながら、国会はもちろんマスコミにも取り上げられ、散々に叩かれます。全国的な非難を受けて、全ての教員が講義もしくはクラス担任を担当し、少しずつ普通の4年制大学と同様の仕組みへと変化していきましたが、構造改革特区制度を活用することで設立された株式会社立大学ですから、そもそも私学助成金の対象外です。全く補助金が期待できないのに、普通の4年制大学と同様の設置基準を要求されたら存続できるはずもありません。さらに、メディアを通じて悪評が全国に伝わることで志願者も激減し、最終的には廃校となりました。
当時の私は、同じ会社で勤務実態も以前と変わりがないのに、予備校講師と大学教員の肩書を持つ奇妙な状況でした。さらに言えば、構造改革特区やNPM(ニュー・パブリック・マネジメント)等、公共分野における民間活力の導入が叫ばれていた時代です。当時の国家公務員1種試験でも、経済事情や経済政策さらには公共政策において、当該分野からの出題が数多くあり、当然ながら私は、学生に向けて対策講義も担当していました。
そんな時に、この不祥事が降ってきたのですから、予備校での講義やゼミがやりにくくなったのは言うまでもありません。当時のゼミ生の大半は現在、各省庁で係長~課長補佐の立場にある人間ですから、事の次第も、そして、私が講義をやりにくそうにしているのも分かっていたと思います。でも、何も聞かず、それでいながら興味深そうにこちらの様子を伺う…正直、不躾な質問された方が、こちらも感情を露わにできる分まだ気が楽でした(全く面識のない人に、心無い言葉を言われたこともありましたが、不思議なことに何とも思いませんでした)。
一方で、予備校ではなく大学に所属する学生が、在籍者数も減っていく中黙々と資格取得のための勉強を続けている様子を見るたびに、一番の被害者に対してかける言葉がなく、何とも言えない気分に苛まされたのも事実です(図らずも、当事者の一員になってしまったとはいえ、決定事項以外、本当に何も情報が伝わってこなかったのでどうしようもありませんでした…)。
財務省、文部科学省そして厚生労働省と、一昨年以来、中央省庁の不祥事が社会を騒がせ、事の次第が明らかになるたびに腹立たしく思うことも多々ありますが、それでも一部の識者(?)が「省庁解体!」やら「もっと厳罰にせよ!」と声高に叫ぶ姿勢にはどうしても与することができません。
財務省再生プロジェクト、文部科学省未来検討タスクフォース、そして厚生労働省の統計問題対策のチーム(正式名称はわかりません)…それら全てにかつての受講生が参画せざるを得ない状況に、激しい社会的バッシング(もちろん一番悪いのは会社にありますが…)もあり年々志願者が減少していく中でも廃校が正式決定されるまで粛々と入試委員を務めていた自分の姿を重ねあわせると、批判はすれども、背後から鞭打つ行為はできません。「この経験が、違うステージで絶対役立つ時が来る!」というように、前向きに思考し続けることを願っています。
そして、このブログの最大の読者層であろう現役大学生には「正しく怯えそして怖がる」ことをおススメします。というのも、今日ここに挙げた不祥事のほとんどは、取るに足らない過ちが出発点です。でも、その過ちを軽視した結果が、多くの関係者を巻き込む不祥事につながったものと私は理解しています。その意味で「正しく怖がる」ことが大切だと思います。だから、最初の方で述べたように、目の前の出来事を他人事のように考え「自分の志望度にはいささかも変化がない」と言っているようならば、「想像力の欠如が目に余るから、今すぐ進路変更した方が幸せになれるよ」と助言するのです。
厳しいことばかり書いてきましたが、例年通りならば、明日2月1日は国家公務員試験の試験委員発表日であります。もう択一試験まで3カ月ありませんので、テキストを最初のページから順を追って読んで…では目に見える効果は期待できないでしょうし、様々な科目も同時並行で取り組まなければならない現状では、とても試験に間に合わないと思います。幸い経済区分の場合、財政学や経済事情等の暗記科目は出題数も多く、対策次第では「一問たりとも絶対落とさない!」ことは十分可能です。
そこで、昨年も好評でした財政学・経済事情のみの講座を今年も販売することにしました。詳細はHPをご覧ください。
本試験における重要度がどれだけ大きいかが理解できるかと思います。働く場所には困らないご時世ですが、こんな時代でも人気のある就職先に行こうと思うのならば、厳しい競争を勝ち抜かないといけません。苦しさから逃れたいと思いはじめる時期に差し掛かってますが、まだまだいくらでも巻き返せます。
それでは、また。