みなさん、こんにちは。受験生の方は出願手続きを済ませましたか?受付期間が短いので忘れずに手続きしましょう!そして、新社会人の方、不安と期待が綯い交ぜになっているでしょうけれど、自分を見失いそうになったときは、内定獲得時の自分を思い出してください。
新社会人の方は、すでに至る所から門出を祝う言葉や新人としての心構えについて訓示を受けており、正直なところ辟易している人も多いかと思いますので、私からはちょっと変わった実践的な話をします。そして、この話を通して、新社会人は決して別フィールドの人間ではなく、競争相手になりうる存在であるという現実を、今年の受験生にも、しっかり意識してほしいと思います。
どのくらい存在するのかわかりませんが、新社会人(2年目の人も含む)でこのブログを読んでくれている人は、過年度の総合職試験に合格した方に相違ないと、私は理解しています。ご存知の方も多いでしょうが、国家公務員総合職試験はちゃんと提示延期の手続きさえすれば、民間企業勤務者であろうとも、最大3年間採用候補者として名簿に記載されます。提示延期者って、再度就活する人や大学院進学者ばかりだと思っていましたが、ここ数年、なんだか違う潮流ができているような感覚がしたので、調べてみました。
ちょっと古いですが、平成27年度国家公務員試験のデータをみると(公開されているものではこれが最新年度です)、院卒区分、大卒区分ともに約1割の人が採用候補者(要するに提示延期者のこと)となっています。前年に比べると、どちらも最終合格者に占める採用候補者の割合は低下しており、歴史的にみても、かなり低い水準にあります。ちなみに、リーマン・ショックが起きた2008年度試験では、最終合格者1,545名に対して採用候補者は292名にのぼり、最終合格者に占める採用候補者の割合も18.9%と、ここ10年で最も高い数値を記録しています。
数字を高いとみるか低いと見るかで、認識の程度は全く違って見えますが、大きな経済的事件が発生した場合、例えその時点では経済が好調であっても、提示延期の割合が上昇する傾向がみられます。参考までにバブル経済期前後の旧国家1種試験における提示延期率の推移を掲載します。バブル経済崩壊が、当時の受験生の心理状態に大きな影響を及ぼした点が容易に想像つくかと思います。
平成29年度の状況を我々が知るには、まだ1年半以上待たないといけないので、憶測の域を出ませんが、総合職試験受験生は先行きに対して敏感に反応する傾向がありますし、私自身、元受講生から官庁訪問再チャレンジの相談を受けることが増えていますので、提示延期の割合は緩やかながらも上昇しているものと考えています。
新社会人の方は学生時代との勝手事情の違いに戸惑うことでしょうし、既に戸惑っているのかもしれません。そうした不安に対して上司や諸先輩方は自身の経験に基づく様々な助言をしていることと思いますので、部外者である私がとやかく言うつもりはありません。ただ、総合職試験名簿の提示延期をしている人は、お守り代わりにその権利を保持しておきましょうとだけ言っておきます。もちろん、職場になじめれば権利を行使することなく済みますし、それに越したことはありませんが、どうしても耐えられなければ、権利を行使すればよいだけです。
「お前にはモラルの欠片もないのか?」というお叱りを受けそうですが、そういった人には、「離婚がごく当たり前の事象(私は13年以上一緒にいますので、心配ご無用です…)で家族関係も流動的になっている現代社会において、なぜ一つの職場に骨を埋める覚悟を持つことが美徳であると捉えようとするのか?」と言わせてもらいます。ただし、入社してすぐに辞めて、今夏の官庁訪問に臨んでも、おそらく誰にも相手にされないですよ。私はこれまで何人もの早期離職者を霞が関に送り出していますが、どんなに短くても年内いっぱいは社会人やっていました…。
新年度最初のブログとしては相応しくない内容かもしれませんが、景気動向とは関係なく、大卒の新社会人の約3分の1が入社後3年以内に離職している現代社会において、新社会人の方には周囲の期待もあって大変かもしれませんが、変に気負うことなく歩んでほしいと願っています。一方、現役受験生のみなさんは、何がしかの経験を武器に官庁訪問に乗り込んでくる層が相当数存在する(あくまで、私の肌感覚ですが…)ことを想像しつつ、受験勉強に臨んでください。
それでは、また。