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温和な人柄とベキ論・断定調の文章


 みなさん、こんにちは。CIMAアカデミーは9月に入り、毎週金曜日は択一試験に向けて1~1.5時間規模の小テストを実施しています。この時期はインターンシップやゼミ合宿、サークル合宿が目白押しで、学生の講義での理解も覚束ないため、私はしょっちゅう胃が痛くなるのですが、受講生はこれまでの人生で幾多の受験を潜り抜けているせいか、テストになるとさすが態度からして全く異なりますね。教養区分1次試験まであと3週間ですが頑張ってください。教養区分を受験しない人も、ミクロ・マクロ経済学だけでも勉強開始しませんか?地方の人向けに今年から経済区分本試験問題集を発売しましたので、一度下記URLをご覧ください。

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 一方、択一対策とは異なり、総合論文については全く正反対です。毎年のことですが、経験不足故にどの学生も最初の頃は何が言いたいのか、こちらがさっぱり読み取れないくらい文章が稚拙であるため、私はほぼすべての答案を真っカッカにし、厳しい言葉とともに学生に返却しています。しかし、今日書きたいのは、文章力向上の秘訣といった類の話ではありません。昨年もブログに書いたのですが、タイトルにもある「ベキ論・断定調」の文章を眼にする機会が増加していることの意味についてです。

 現在の3年生はCIMAアカデミー6期生になりますが、総合論文や政策論文の答案を1期生から順に見比べてみると、「~についてあなたの考えを論じなさい」という出題形式(例年こんな感じです)に対して、「~である」「~すべきと思われる」といった文末は年々減少する一方、「~だ」「~すべきだ」という断定調の文末は増加の一途にあります。

 しかし、こうした傾向は総合職受験生に限ったことではありません。HPの講師紹介にあるとおり、私は4年前より東洋大学経済学部と昭和女子大学総合教育センターで週5コマほど経済学の講義を担当していますが、毎回の講義における小テストや定期試験で自由記述式の問題を出題すると、「ベキ論・断定調」の文章を書く学生が3分の1ほどを占めるようになりました。圧迫感があまりにも強いので、今年夏の定期試験では、計算問題や選択式の比重を高めたくらいです。

 では、自己主張の強い学生が増えたのかというと、全く逆で、女子大の1年生向け必修講義以外はクラシック音楽のコンサートのように静かなもんです。質問なんかごく稀にしか来ません(ただし、話を振れば、ちゃんと意見を表明する学生は明らかに増えています。それでも、少数派であることには変わりありませんが…)。もっとも、私が総合職を目指す学生を初めて指導したのは32歳のときで、当時の私と学生達の年齢差は10歳程度、一方、現在の私は48歳で、下手すれば学生の保護者と同い年くらいです。学生たちと私の距離が当時と現在で同じであるほうがどうかしています。なので、大学生全体がおとなしくなっているのかどうかについては判断を控えさせていただきます。

 ただし、論文における文体の変化については別です。断定調の文章って、私の感覚からすると、自分の主張や見解によほどの確信がないと書けないものですから、「自分に自信を持つ学生が増えているのか?」と思ってしまいがちですが、こうした文章を書いている学生は皆、総じて真面目でおとなしく素直で、外見からしてもおよそ自信家とは対極にある存在です。この子たちから、一切の反論を許容しない文体が生まれ出てくるのはなぜでしょうか?

 CIMA生に顕著な傾向ならば、総合職志望者特有の社会問題に対する極めて高い問題関心ゆえに、政策論文において自分の見解を絶対視するような厳しい文体に繋がっているといえるかもしれませんが、既に述べたように「ベキ論・断定調」の文章を書く学生は、大学講義でも確実に増加しています。昨年、ブログでこのことを書いたとき、あるOGからは「クリティカル・リーディングに耐えうる文章を書く機会の不足」を指摘されたのですが、自分の学生時代を振り返っても、ダメ出しを何度となく喰らいながらも論文を書き上げたのって、卒論執筆が最初の体験だったように思いますので、今の大学生が特別経験不足であるようには思われません。

 別のOGからは、「SNSの存在が影響しているのではないか?」と指摘を受けました。曰く、twitterやFacebookの普及により、気持ちが強くない人でも社会で生きていけるようになっただけでなく、バーチャルな世界とはいえ、自分の考えに近い仲間だけを作り上げ、現実の人間関係では角が立ちそうなことも、その仲間内だけでは自由に主張し、閉じられた空間内で話題を完結させることができる。対立者についてはブロックするか、あるいは匿名性を活かし徹底攻撃しても身体的痛みは伴わない…。SNSをやっていない人も、閲覧は自由なので、自分が共感できるブログやHPだけを取捨選択する。こうして、多様性が存立基盤であるはずのネット世界において、皮肉なことに不寛容さが助長される…。

 私は社会学者ではないので、SNSについてこれ以上深入りするつもりはありませんが、この話を聞いたとき、私が日常的に大学生の論文を読む機会が多いだけであり、「ベキ論・断定調」の文章の件は何も大学生に限定した話ではなく、程度の差こそあれ、SNSに慣れ親しんでいる人全員に言えることではないのか?と、感じました。確かに、やたらと「正論」を振りかざす人が増えた気がします。もちろん、公務員試験対策ですから、まずは「筋を通す」ということを、専門科目、論文対策など様々な場で学生に教え込みます。しかし筋を通すは、要求される解は一つという意味ではありません。自分たちとは異なる立場だって、筋を通した結果導き出されたものかもしれません。総合職を目指す学生ならば、私が言わなくてもわかっていることでしょう。でも言葉や文章に不寛容さが出ていては、全てが台無しになってしまいます。

 誤解してほしくないのは「清濁併せ呑むべきだ!」といっているのではありません。ただ、(自分が思い込んでいる)「正論」は限度を超すと必ず不寛容へと至り、論文ならば低評価となり自分が全ての不利益を蒙る結果となるだけですが、仕事では、相手の退路を確実に断ち、追い詰めることになってしまいます。このブログを読んでくれている皆さんは、何事にも自分の意見を持ち同時に寛容の精神も併せ持っているかと思いますが、もしこのブログに書いたことが該当するようでしたら(もっとも、自分ではなかなか気づかないと思いますが…)、文章表現一つで大きな誤解を招く可能性もありますので注意しましょう。対策をおろそかにしてると、2次試験の企画提案試験で取り返しのつかないことになりますよ。

 それではまた。


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