みなさん、こんにちは。官庁訪問における内々定解禁から1週間余が経過しました。CIMAアカデミーのHPへのアクセスユーザー数も、一時期の連日250人を超える状況に比べると、だいぶ落ち着いてきました。しかし、閲覧箇所はというと、ほとんどブログで(それしか見るとこない!と言われてしまえば、それまでですが…)、それも今月初旬から5回に分けて連載した官庁訪問絡みの記事ばかりです。もしかしたら、まだ日常に戻りきれていない人が多いのかもしれません。
結果はどうであれ、「自分はやりきった!」という充実感が得られた人は、たいてい官庁訪問終了とほぼ同時にこのブログからも離れていきます。もちろん、どこからも内々定が得られない受験生の方が圧倒的に多い現状では、そうした充実感が得られる人はむしろ少数派でしょう。たいていは、何がしか蟠りが残り、中には早く再チャレンジしたいがために、教養区分試験へとなだれ込む…。これが望ましくないことについては、以前のブログで書きましたので、ここでは割愛します。
蟠りに関していえば、私も「ない!」と言えば嘘になります。というより、私の心の中で年々大きくなっています。でも、構造的に仕方ない面もあります。多様性の確保の名の下、合格者数を増加させている一方で、長年にわたり職員数の漸減傾向が続いている。にもかかわらず、官庁訪問の基本構造は相変わらず属人的で、効率性とはおよそ程遠い…(前回のブログにも書きましたが、私が、霞が関の働き方改革に対して懐疑的にならざるを得ない最大の理由は、この官庁訪問の仕組みにあります。毎年毎年同じようなやり方を続けて、内々定者以外で、一体誰が得をするんでしょうか?)。
訪問者の多くが、官庁訪問を通じて何らかの蟠りを持つのも当然のことといえるでしょう。ただ、私はというと、上記の困難に直面する当事者の苦悩に共感できてしまう面も多々あるので、学生が毎年口にする不満に対して、共感はしつつも、基本的には聞き役に徹するのみにとどめています。しかし、意図的かどうかは別として、結果として学生を馬鹿にした行為をとれば、話は別です。遠方から多額の費用そして貴重な時間を割いて訪問する学生も多数いる中で、理由は何であれ、ぞんざいな対応は許容できるものではありません。私の気のせいかもしれませんが、こうした対応により、学生側が大きな不満を抱える事態が年々増加しているように思われます。
詳細についてここでは控えさせていただきますが、実は、うちで上記のような憂き目に遭った学生がいました。最終的には、他の内々定先へ納まりましたが、さすがにこれは学生との信頼行為を踏みにじる行為だと思い、内々定解禁日を待って、メールではありますが法人として抗議しました。ですが、1週間経過したものの何の音沙汰もありません。いきなり抗議メールというのも不躾かと思い、いろいろ聞いてはみたものの、結局のところ、多忙さを理由に他人事のように扱われました(正直、この件に関しては、もう何も期待していません。前職時代から、これまで多数の人材を輩出してきたはずですし、なによりもかつては自分たちこそまさに当事者だったのに…)。
さまざまな省庁で活躍する元ゼミ生の話をいろいろ聞いていますので、おおよその原因は推測できます。だから、起きてしまったことそのものをとやかく責めるつもりもありませんし、私だってたくさんの失敗や過ちもします。もちろん、そうした事態が起きないように最大限努力しますが、長期間にわたりミスが0%なんて不可能です。だからこそ、CIMAアカデミーでは、ミスが発覚した後の対策に重点を置いています。
大げさかもしれませんが、学生は一生をかけて官庁訪問に臨んでいます。そういう人たちに、多忙さを理由に許しを求められますか?(1度くらいは可能かもしれませんが…)私が、多忙さを理由に講義を頻繁に休講にすれば、CIMAアカデミーみたいな小さな予備校は確実に潰れます。また、大学で休講を連発させれば補講が待ち受けていますし、補講は学生の予定をつぶすことになりますから、最悪契約解除になり兼ねません。私の事例を引き合いに出すまでもありませんが、現状の過酷さを呪う暇すら与えられない業界が、巷には溢れかえっていることを知っていただきたいと思います。
かなり辛辣なことを書いてきましたが、長年、予備校講師そして大学教員をやっていて、官庁訪問が民間企業の就活と比べて決定的に違う点があることに最近気づきました。採用側と学生が基本的に一期一会であるのは、官庁訪問だけでなく超人気企業でも同じですが、お断りされた学生が感謝の気持ちを言葉にするのなんて、官庁訪問だけなのでは?ということです。前々回ブログで、あと一歩のところで内々定獲得に至らなかった官庁訪問2年目の学生のことについて書きましたが、その学生と同期の仲間、そして私の3人で、内々定解禁日に残念会を開いたときに、彼はこんなことを言っていました。
「官庁訪問をここまでやれて本当に良かった。内々定に至らなかったのはもちろん残念だし悔しいけれど、自分の未熟な点がどこなのかわかったし、この経験は内定先企業に就職してもきっと活きる!いろんな人に支えられてここまで来られたのは、自分の財産だ!」
繰り返しますが、これ、内定者の言葉じゃありません。企業からお祈りメールが届いて、こんなこと言った人なんて、私は大学でも聞いたことありません。さらに、彼の話によれば、彼と面談をしたほぼすべての人が、ほんとうに彼のことを知ろうと誠実に応対してくれたようです。ただでさえ多忙な中で、採用活動の一翼を担うことが極めて過酷な勤務状況であることは想像に難くありません。それでも、人生をかけて対峙する学生と真摯に向き合うことで、結果の如何にかかわらず、学生にとって大きな財産になることを、かつての自分の経験に照らし合わせて、思い出してもらえればと願っています。
そして、官庁訪問終了後、なかなか次の一歩が踏み出せない方、このブログを読んで少しでも共鳴できるところがあるのならば、いつまでも私の過去のブログに留まっていないで、民間なり翌年の官庁訪問に向けて行動を開始してください。私も次年度の学生を抱えている身ですから、いつまでも同じところにとどまっているわけにはいきません。twitter等で今年の実績について公表し始めたわけですし、今回のブログを最後に、夏の官庁訪問絡みの話題はおしまいにします。
憤りに任せて書き始めましたが、全ての関係者にそれぞれ如何ともしがたい事情があることに理解を示していくことで、少し気分が落ち着いてきました(ただし、状況を知れば知るほど、現状肯定は誰一人幸せにしないことに気づいてしまったので、これからも同様の事態に直面すれば、声はしっかりあげていこうと思います。学生はどうしても弱い立場になりがちですので…)。このブログを書いていたら、妻から「ちょっと早いけれど、誕生日プレゼント」と、Yシャツを手渡されました。私、明日で4回目の年男なんですね。すぐ瞬間湯沸かし器になる性格をいい加減治したいものです。今回は誰に向けて書いたものなのかわからなくなってしまいましたが、それでは、また。