みなさん、こんにちは。最初に言っておきますが、今回は受験生向けというより、内定者および入省後プライベートがズタボロ状態にある若手職員(若手職員全員とは言ってませんので悪しからず)向けかもしれません。また、斜め読みだと、真意が伝わらないため、気分を害するかもしれません。ゆえに、批判や文句については、最後まで読んだ上で行ってほしいと、先に申し添えておきます。
私はというと、現在、ちょっとした喪失感にあります。去年も官庁訪問直後のブログに書きましたが、官庁訪問期間は、学生は毎日朝早くから夜遅くまで面接等に臨み、解放後、私のLINEやメールにその日の様子について状況報告を行う…。こんな日が2週間続きました。今年はCIMAアカデミーの受講生も昨年に比べて少なかったことに加えて、早い段階から安心してみていられる学生が多かったことから、官庁訪問指導そのものの負担は軽かったのですが、官庁訪問の時期と大学講義が完全に重なっていたため、全体としては例年とほぼ同等のキツさでした。
こんな状況ですから、おそらく今月の労働時間は360時間を確実に超えます(皆さんの言い方だと残業200時間ということになりますね)。もちろん、この時間はCIMAアカデミーだけではありません。大学講義が週5コマありますので、その講義および準備時間、さらには、協力関係にある他社での面接指導等も含めた数字です。今度の土曜日に年男を迎える人間にとって、残業200時間はさすがに身体に堪えます。官庁訪問終盤に大学の講義終了後、気持ち悪くなって講師控室で2時間ほどボーっとしてました…。残業200はさすがに年に1度程度ですが、残業100時間程度でしたらごく普通にあります。
毎年のことですが、官民問わず若手の皆さんは非公式の場で、自分が直面した超過勤務の実態を互いに語り、また私にも、職場で夜を明かしたなど様々な話をしてくれます。私はというと、職場で夜を明かすくらいの超勤に追い込まれることに対して同情する一方、『毎日じゃねえんだろ?どうせ若手のうちだけだろ?こちとら、いつものことなんだよ!』と、イラだつ感情を押し殺すのに必死な自分がいるのも事実です。
超勤の深刻さを長時間勤務およびサービス残業だけで語っている限りは、社会の共感は表面的なものにとどまると思います。というのも、私もかつて12年間大手予備校の講師さらには管理職も併任していたのでわかるのですが、超勤の深刻さは勤務時間そのものではないからです。6年前の官庁訪問期だと記憶していますが、私は椎間板ヘルニアを発症し、全く起き上がれなくなり収録講義キャンセルの事態となりました。その後、経済理論をはじめとする主要科目の収録講義を降りるだけでなく当時、渋谷と池袋の2か所で開講していた経済職ゼミも比較的人数の少なかった池袋だけに変更してもらったりと、かなり迷惑をかけた記憶があります。
しかし、体調不良はその後も一向に改善しませんでした。そのうち私は退社し、CIMAアカデミーを創業しました。勤務時間は全盛期で比較しても、前職の比じゃないくらい、やらなければならない業務が多く、残業100時間オーバーなんて当たり前になりました。しかし、不思議なことに創業から4年余が経過した現在、体調は今の方がよいくらいです。今にして思えば、労働者的思考から経営者的思考へと仕事に対する姿勢が変化したことが、自分自身の体調変化につながったのではないかと考えています。
月300時間の勤務の大半を自分の裁量で決定できる(その代り、失敗のリスクは全て自分に帰することになりますが…)のと、まだ仕事の全体像が見えていない新人期に、逐次的に出てくる場当たり的指示をひたすら待つのとでは、精神的疲労度は圧倒的に後者の方が大きいはずです。意味もなくただひたすら待機させられたり、「昔からの決まりだから」の一言で現在ではほとんど何の意味もない業務をさせられるのではなく、もっと効率的に時間を活用することが出来たら、仕事を早く終わらせることもできるでしょう。
ある省の若手職員が先日遊びに来てくれた時に、「私、7月から働き方改革の部署に配属になります」と報告してくれました。短期的効果にこだわるあまり、「毎週○曜日は×時強制退社」というような、ほとんど無意味な案を出さないことを祈るばかりです。社会全体ではAIの活用も議論されていますが、私は、日頃関係している業務で気づいたことを提案するにとどめます。それは、備品・データ持ち出しの許可に関してです。
弊社のような予備校が省庁と最もかかわりを持つのは説明会シーズンですが、弊社にはノートPC、電子黒板機能付プロジェクターがありますので、事前に講演データ(ほかにパンフレット等の配布物も!)さえ送っていただければ、講演時間直前に身一つで来て、すぐにご講演が始められる手筈が整うのですが、省庁によっては持ち出しがかなり厳しいようで、当日、大量の配布物とともに来校されるところもあります。準備に要する時間を考えると、なんだかもったいない気がします。情報漏えいの危険性等が関係しているのだと思いますが、職場においても情報漏えいは起こりうる(事実、何度もニュースになっていますよね?)のだから、事件が発生したあとの対策をしっかりすることに注視すればいいように思われます。
ほんの小さな改革であっても、最新の技術に置き換えられるところは置き換えていくようにすれば、もっと効率的な時間の使い方ができ、ひいては働き手にゆとりが生まれるのではないでしょうか。すくなくとも、「自分たちの頃はこうだった!」という価値観を押し付けることで、若者のやる気を削ぐことだけは慎みたいものです。
それでは、また。