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ご卒業おめでとうございます!


 みなさん、こんにちは。このブログを読んでくださっているのは、受験生の方がほとんどだと思いますが、卒業生の方、ご卒業おめでとうございます。このブログが表に出るころにはあちこちの大学で卒業式が行われているかと思います。門出を祝う言葉は大学の諸先生方にお任せするとして、私からは、一見すると覇気が感じられないけれど、卒業生だけでなく受験生にとっても参考になるであろうことについてお話しします。

 私が皆さんに贈る言葉は、

「下を見る暇あったら、前を向け!」

です。これだけだと、パワハラまがいの発言にしか受け取られかねないので、自分の昔話になってしまいますが、ちょっと補足します。受講生には話したことがありますが、私は、留学期間も含め、学部・修士・博士課程で計13年もの長期間にわたり大学に籍を置いていました。足踏みをしたのは全て博士課程の時です。理由は単純です。就職先がないからです。

 「就職先探せよ!」という声が聞こえてきそうですが、文系で大学院に進学した人ならば少しは共感してもらえるとは思いますが、大学院生って、進学を志した時点でたいてい研究者になることしか頭にないのです(今は、私が大学院生だった頃よりは、いわゆるオーバードクター対策もすすんでいるかと思いますが、任期制ポストばかりでしょうから将来に対する不安感は、何ら変わっていないのでしょう…)。でも、ポストなんてそう簡単に見つかるものじゃありません。焦りと生活のため、私は次第に大学から足が遠のき、アルバイトに勤しむようになりました。

 現在、予備校講師をしている人間としては、ちょっとおかしなことではありますが、私は大学1年生の頃から途中空白期間はあったものの、博士課程修了までずっと、街の中心部にある自家焙煎珈琲店でアルバイトをしていました。そこは、かつては大学のすぐ傍だったこともあり、文系・理系問わず様々な学部の先生が出入りし、私もそこでの会話が面白くて、実入りの良いアルバイトはいくらでもあったにもかかわらず、オーバードクターになってもずっとアルバイトを続けていました。

 もう20年近く昔のある夜のことでした。1組の男女が珈琲店にやってきました。男性はずっと女性に介助されながら、2人はカウンター席に座りました。でも、なんか様子が変です。男性は私とカウンター越しで至近距離にあるにもかかわらず、私と目を合わせません。というより、見えていないようです。それどころか、注文を伺っても聞こえている様子ではありません。でも、ちょっとのタイムラグの後、ロボットのような声で(失礼なのはわかってますが、ほかの言葉が思いつきません…)返事が返ってきました。

 同僚とその客の会話をしばらく見ていると、女性が男性の手のひらや指を細かく触り(これが指点字であることを知ったのは、しばらく後のことでした)、その後、男性が声を出すことに気づきました。ここまでで、もう気づかれた方もいるかもしれません。その男性とは、福島智・東京大学先端科学技術研究センター教授です。当時は、金沢大学教育学部助教授として赴任されていました。その日は、私のバイト先の常連さんが営むお寿司屋さんの帰りだったように記憶しています。

 その後も何度か先生はお店に来られましたが、残念ながら、私は何を話したのか記憶には残っていません。ただ、一つ言えることは、当時止まっていた私の時間を動かすきっかけになったのが、先生との出会いである、ということです。

 我々は、五感を駆使することで他者とのコミュニケーションを図ります。そのなかの一つが失われると想像しただけで、私は絶望的な気分に苛まれますが、先生は視覚と聴覚の重複障害を抱えながらも、なお社会との関係を模索する…。翻って、自分はというと、足踏みしている状況を全て外的要因に求め、大学に背を向け、街中でバイトに勤しむ。社会勉強と言えば聞こえはいいけれど、実のところ、自分よりもっと厳しい状況にある人を見たり知ったりすることで自分を慰めているだけではないのか?

 その後、時間はかかりましたが学位論文を提出し、どうにか学位取得にこぎつけ、進路こそ当初の想定とは全く異なりましたが、今日までどうにか生きています。皆さんも仕事をするようになって最初の半年は楽しい想いをするかと思いますが、そのうち、理想と現実のギャップに苦しみ始めます。そのときに、もし自分より厳しい状況にある人を見出すことで、直面する自分の苦しみに耐えようとするのならば、それは、まったくもって健全な姿勢とは言えません。自分より恵まれないもの、大変なものを探そうとする時点で、そこには格差や差別が生じます。

 もし、自分が置かれているのが極めて厳しい状況で、存在意義そのものを問うような叱責を受けたとしましょう。そのとき、自分より下(とみなすもの)に対して、最悪、我々は自分たちまでの存在価値を認める代わりに、下とレッテルが張られた彼らの存在そのものを否定する行動に出るかもしれません。だからこそ、「下を見る暇あったら、前を向け!」の姿勢が必要だし、もしそうした姿勢で困難に対峙することが難しければ、一旦休む(それでも改善しないようならば、転職する)ことも選択肢に入れるべきでしょう。

 長くなってしまいましたが、4月以降、それぞれのステージで輝けることを祈ってます。時間が許せば週に一度くらい、うちのブログを覗いてもらえればうれしいです。それでは、今日はこの辺で。


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