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本当に現行の採用試験を続けますか?もっと自分の首を絞めたいのですか?

 みなさん、こんにちは。一部省庁では追加募集が行われているようですが、2度にわたる筆記試験の延期に始まり、試験科目の一部削除、筆記試験前の事前面談会の実施、一次試験直後からの官庁訪問実施…と非常に長かった国家公務員総合職試験が終了しました。CIMAアカデミーは経済区分と教養区分しかない小規模予備校ですので、受講生の状況は既に把握していましたが、諸事情により内々定解禁日まで公表は一切控えておりました。

 今年の本試験は、学生だけでなく、うちのような小さな予備校にも多大な影響を及ぼしました。当初、既合格者を含むコース生は7名いましたが(このほか、専門記述、経済事情のみ等の単科講座生は20名近くいますが、そもそも弊社の毎年の合格実績の対象外なので、彼らの行動に関しては全く把握しておりません)、事前面談会という前例のない採用過程が課されたこともあり、3名は民間へのシフトもしくは官庁訪問の権利を来年に先送りし、結局、弊社で事前面談会&官庁訪問に参加したのは、僅か4名でした。例年の官庁訪問の実質倍率を考えると数字上、全滅してもおかしくない状況でしたが、HPに記載の通り、3省庁に内々定者を輩出することができました。


 過年度に比べて、数の上では少し寂しいですが、人数が少ない分、一人一人の学生に十分な時間を割くことができたので、率としては例年以上の数値を残すことが出来ました。ただし、これは去年の最終合格発表時のブログにも同じようなことを書いたのですが、私の眼には、過年度の受講生と比較して今年の学生はとりわけ優秀とは映りません(本人はあまりいい気分はしないでしょうけれど、この1年さまざまなOBと接してきているので自覚していると思います)。にもかかわらず、官庁訪問の結果が例年と全く遜色ないことに、国家公務員総合職試験の行く末に対する私の不安は去年に比べ一層高まっています。


 毎年、うちのHPは試験時期になるとアクセスが急増し、官庁訪問期間中に最高潮に達します。今年は、択一試験前に事前面談会という前例のない採用過程(「採用とは無関係です!」と必死に宣伝している役所がありましたが、少なくとも内々定者のなかで、その言葉を信じていた人は皆無と思いますし、私もこの時期、24時間体制でオンラインを用いた模擬面接等の対応をし、逆に官庁訪問期間中は過去の政策論文の添削しかしていませんでした…)が追加されたのですから、HPへのアクセスは事前面談会期間中がピークと予想していました。ところが、実態はというと、事前面談会期間中は平常時に比べアクセス数は微増に過ぎず(実数で1日平均150名前後)、官庁訪問第1クール期間は1日平均約200名、さらに実は、最終合格発表日が最もアクセス数が多かったです(297名)。

 このことを、申込者数に比して本気で総合職を目指している層が、実はごく一部に過ぎない証とみるか、それとも、東京で予備校をやっている私には想像もつかないくらい、地方では人事院への信頼性が極めて高い証とみるかで、全く見方が異なってしまいますが(昨年の官庁訪問終了後、ある内定者の保護者からお礼の電話がてら、「先生はたくさんの教え子さんの実態をみているので、数ある職業の一つとして官僚を客観視しているようですが、こちら(ある地方とだけ言っておきます)では、官僚輩出ともなれば依然大きな期待が寄せられるものなのです」と言われたことが鮮明に記憶に残っています)、もし後者だとするならば、今回の人事院の対応は、今年だけでなく来年以降の総合職志望者にも大きな失望感をもたらしたと言わざるを得ません。


 本音と建前の使い分け、物事の表裏を把握することは、どんな業界においても職務上の重要な能力だとは思いますが、そんなのは私自身の経験からも、仕事をするようになってから失敗を繰り返すことで自然と身についていくものです。大学教員として、毎年何百人もの多数の大学生をみている立場から言わせてもらえば、今も昔も、本音と建前を使い分けたり、物事の表裏を把握することに長けた大学生なんて少数派で、よほど情報収集に勤しむ子を除けば、国家公務員法「第二款 採用試験」に採用試験実施機関として人事院の役割が明記されている以上、人事院の発する情報を最も重要視すると思います。


 一方で、こうした二枚舌外交といっても過言でないやり方に私が呆れ、憤っていたことに対して、何人もの現職の方が、私の憤りや今年の受験生の苦労に理解を示した上で「でも、実際仕事を共にする仲間としては、場の空気になじめる人間を重宝がるところはありますよね」と言い、OB訪問をお願いした中堅どころの職員一人だけが「個人的な危機意識として、最近、入省してくる新人が、はじめから役人っぽいんですよね。…(略)…役人感覚を磨かないと入れないのかもしれません。そうだとすると、極めて危機的状況だし、個人的にもとても嫌です。本当に、役人的な空気読める人間ばかりあつめて、このままではいけないと思いますけどね」と、採用における危機感を表明していました。


 同時に「言ってることとやってることが全く違う。機会の平等を!」と叫んでばかりいる人たちにも、採用されなくても仕方ない面は多々あります。先ほどちょっと触れた昨年のブログで弊社が官庁訪問に否定的(私は、今のままならばなくしたら?と批判していますが、官庁訪問自体を否定はしていません)と捉えた部外者の方から電話があった時に、「私ならばひどい目に遭わされたと感じた時点で席立って帰りますが、なんでそれでも○○省にこだわるのですか?…(略)…××社や△△社など、あなた方もご存じであろうコンサルは自治体や省庁の政策づくりを実質的に請け負っています。民間でも政策づくりをできる時代なのに、どうしてひどい目に遭わされたと感じているところに、なおも拘るのですか?」と、自分としてはあり得ないくらい穏やかに答えたところ、無言状態が長く続き、そのまま電話を切られました(もっと、勧誘の仕方を学ばないといけないようですね、私は)。


 現在の官庁訪問の問題点については、去年の最終合格発表時のブログに詳しく書いてありますのでそちらをご覧ください。それよりも、このままこんな採用をやり続けていたら、せっかく国民の間にも少しずつ認知され始めた国家公務員の働き方改革を大きく後退させかねないと、私は危惧しています。

 近年、現職・元職問わずtwitter等のSNSを通じて国家公務員の勤務実態について発信していることもあり、勤労者の方を中心に労働環境改善の必要性について共感の輪が少しずつ広がってきているように感じられます。でも、まだ変化は小さなものにとどまっており、人員の大幅増、報酬・昇進体系の抜本的見直しとなると、もっと多くの人々の支持が必要であるように思われます。

 公的な貢献への想いが元来強く思考の柔軟な若年層は、そのための大きな支持者になりうる可能性が高いです。もちろん、採用試験である以上、残念な結果に終わる人が多く出てしまいます。しかし、「自分は実力不足だった、採用された人は頑張ってくれ、自分は違った方面から社会貢献を果たしていく」というように就職活動を終えることができれば、その人たちは大きな共感者になってくれるはずです。が、既に述べたような、二枚舌外交に長けた人が有利になるような採用プロセスを継続していたら、内定者以外の多くの国家公務員志望者を失望させ、最悪、改革に対して敵意をむき出しにすることも起こりえます。

 日頃、公務員の過酷な勤務実態について発信する人も、採用絡みの話になると不思議なくらい、せいぜい自分たちの時の経験を引き合いに「緊張しないで」「面接してる方も緊張してるから大丈夫」など、気休めを言う程度になってしまいますが、今日一日を無事終えることがもはや奇跡に近い自分たちにそっくりそのまま跳ね返ってくることに、思いをはせることができないのでしょうか?(これが余裕をなくすということかもしれません…)

 年々申込者が減少しているとはいえ、依然優秀な学生は皆国家公務員を目指すと思っている方に、少し驚く話をしましょう。うちが経済区分に特化した予備校ですので経済区分に話を限定しますが、今年の最終合格者数は141名と近年で最も少なかったです。申込者数も1641名と少なかったのですが、表面上11倍を超える倍率ですから、それなりの難関試験のように思われます。しかし、実態はというと、試験はスクリーニング機能を果たしておらず、1次試験合格最低点は80問中36~37問と、4割5分程度の得点率で通過できています。これだけでも驚きなのに、今回の2次試験(政策論文と人事院面接のみ)は、足切りさえ遭わなければ1次試験がぎりぎり通過でも、英語の加点(TOEIC600点以上あれば15点加点です)があれば全員合格です(実は、法律区分等、他の試験区分も2次試験に関しては、足切りさえ遭わなければ受験者はほぼ全員合格となっています)。


 このからくりは、今年は択一試験前に事前面談会という事実上の官庁訪問を実施した上、官庁訪問も2次試験前に実施した結果、そこで芳しくなかった層がこぞって試験を棄権したことにあります。でも、点数がどうであれ、最終合格したことにかわりありません。しかも、官庁訪問の権利は3年間有効です。筆記だけで評価することが望ましくないことは理解していますが、過度の人物重視の結果、ペーパー試験で半分とれなくても、人事院面接はE判定さえ食らわなければ合格できてしまうレベルになってしまいました。しかも、例年の採用実績に当てはめて考えると、最終合格者の3分の2近くは内定先がないにもかかわらず2次試験を受験し、試験合格しているのですから、おそらく来年も官庁訪問するものと思われます。試験結果は誰でもHPで見ることができますので、もはや総合職は優秀な学生が受験する試験なんて言い分は通用しないと思います。


 これ以上の言及について、今回は控えます。弊社のブログは読者の大半が総合職志望者ですが、OB/OGをはじめ現職の方も閲覧されていると聞いていますので、職場の中だけでなく、入り口で一体何が起きており、どうすべきなのかご検討ください。去年も書きましたが、入口と職場双方での変革があって、はじめて大学生に公務員の魅力を最大限にアピールできるものと私は理解しています。これまでは、どちらかというと日程調整や試験科目の変更で志願者を掘り起こすという小手先の改革が中心でしたが、もう小手先の改革では総合職志望者は靡かないことを認識すべきだと思います。  2年続きで暗澹たる気分にさせる内容ですが、長文おつきあいくださいまして、ありがとうございました。

CIMAアカデミー・シニア・パートナー (兼 東洋大学経済学部/昭和女子大学総合教育センター 非常勤講師) 池田 俊明


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